こんにちは。
3月がもう目の前。いい加減そろそろ暖かくならないかなと唸る日々。
そんな日々に、私は初めて美少女ゲームをプレイしました。
だがしかし、この記事が出るのは2月そして、3月も超えて4月。
ということで、初めてプレイした美少女ゲーム
白昼夢の青写真
について、記事を書こうと思います。
前半部分は、この作品について紹介して、後半にネタバレありの感想を記していく予定です。
では、まず白昼夢の青写真という作品について。
こんなにわたしを愛してくれて、ありがとう--
この物語は、世界に全てを捧げた少女と1人の青年の物語です。
ランダムに開始される三つのストーリーは、最後に一つの物語に収束されます。
最後の一文を読み終わったときに、簡単には言語化できない感情がプレイヤーの中に残るよう、ビジュアルノベルという表現媒体の特性を駆使して、狂おしいほどの純愛物語を追体験出来るように作りました。
(公式サイトより)
この作品は物語をCASEで分けています。CASE-1、CASE-2、CASE-3、それぞれ時代も登場人物も国も異なる物語から始まります。
この3つの物語はゲーム起動時にランダムで始まります。私はCASE-1から始まりました。
1つの物語を30%程進めたところで、次の物語へ、その物語も30%進めると3つめの物語へ。
3つの物語の序盤を終えた時点で、どの物語から読み進めるか選択することができます。
そうやって3つの物語の終わりを見ることで、CASE-0へと話が続いていきます。
まずはCASE-0以外の3つのCASEのあらすじをご紹介します。
CASE-1
有島芳は45才の非常勤講師。
かつては小説家を目指していた有島だったが、大学時代に出会った波多野秋房という先輩との筆力・人間力の差をまざまざと見せつけられ、その夢を捨てた。
今は編集者である妻の侮蔑の眼差しをうけながら、代わり映えのない毎日を送っている。
ある日、有島の大学時代のゼミの教授が他界。有島は告別式で、自分の勤め先の学園の生徒の姿を見つける。
その女学生・波多野凛は、大学時代の有島から筆を奪った波多野秋房の娘だった。
告別式で会ったことを機に、有島と凛は図書館で言葉を交わすようになる。
「あなたの書く文章を、私は読みたい」
凛が有島に投げかけた言葉は、かつては妻が言っていた言葉だった。
生徒への背徳的な恋心と、冷め切った夫婦関係への諦め。
その狭間で有島はもう一度筆をとり、書き始める。
CASE-2
ウィリアム・シェイクスピアは、盲目の父と二人で酒場を営んでいる。
ウィルには“完全記憶”という特技があった。
店に立ち、各地から集る客の話を全て覚え、それを題材に作話し、ロンドンの劇団に密かに販売していた。
その売上げを足しにしてもなお、父を介抱をしながらの生活はギリギリ。
大した食事もさせられず、日に日に父が弱っていく中、父は久し振りにある食べ物を口にした。
それは当時のイギリスでは最高級食材の鹿肉だった。ウィルは父に食事をさせるため、ある貴族の庭に忍び込むが、呆気なく捕まる。
とらわれたウィルの前に現れたのは二人の貴族、オリヴィア・ベリーとハロルド・スペンサーだった。
家主であるスペンサーは即座にウィルを処刑しようとするが、オリヴィアはウィルを奴隷として身請けすることを申し出る。
オリヴィアは座長を務めている自分の一座でウィルの脚本を買ったことがあり、その才能に気付いている舞台役者だった。
時はエリザベス朝演劇全盛期。女性が舞台に立つことは硬く禁じられていた。
だがオリヴィアは男装して密かに舞台に立っていた。
女性が座長の一座。そんな一座に優秀な役者が居着くはずもなく、オリヴィアの一座にははみ出し物の役者ばかりが揃っていた。
オリヴィアはウィルに、自分の一座に脚本を書き、劇団を存続させれば命は助けると提案。
ウィルは酒場の切り盛りをしながらオリヴィア一座の座付き作家を始める。
CASE-3
飴井カンナはガレージにひきこもっている不登校児。動かなくなったキャンピングカーを自分の部屋にしている。
その車には、亡き母との思い出が詰まっていた。母を亡くし、カンナは学校に行く意味を見いだせなくなった。
母がいた頃、父が変わってしまう前、三人で過ごした時間――カンナにとって、動かなくなったその車は、楽しかった過去そのものだった。
そんなある日、教育実習生の桃ノ内すももがガレージを訪れる。
「学校、おいでよっ」
その呼びかけを無視しても、すももは怯まない。ペースを乱さないすももにカンナは苛立ちを覚え、すももを追い返す。
その夜、キャンピングカーの中で眠ったカンナは懐かしい揺れと温もりを感じて目を覚ました。
「母さん……?」
気がつくと、カンナはすももに抱きしめられていた。車は動いている。
状況が全く飲み込めないうちに車は停まり、運転席から誰かが降りた。
車を盗まれたことに気付いたカンナは、 窃盗犯・松風梓姫の目を盗んでアクセルを踏み込む。
無免許のカンナが運転する車はさんざん暴走した挙げ句、停車。炎上したアジトから出てきた梓姫はカンナからハンドルを奪う。
「わたしはオマエの無免許運転にひかれかけた。もっと言えば愛車をスクラップにされた上に住まいも燃やされた」「面倒ごとが嫌なら、わたしをしばらくかくまえ」
自称スクラップハンターの梓姫は、カンナに条件を突き付ける。
機を見るに敏なすももは、たまたま居合わせたこの好機を逃さなかった。
「じゃ、あたしも!」「カンナくんが学校に来てくれないなら、今日見たこと全部誰かに話しちゃうかも! あたし口軽いから!」
にんまりと笑うすもも。不敵に微笑む梓姫。
カンナの静寂な日常はあっけなく崩壊した。
退路を断たれ、年上の女性二人に手綱を捕まれたカンナの新しい生活が始まる。
CASE-0は実際にこの3つをプレイした先にて、味わって欲しいなと思い、この場ではあえて公式サイトからのあらすじの引用を控えます。
これら、3つの独立した物語が全てCASE-0で繋がっていくことになります。
CASE-0は白昼夢の青写真にとって1番大切な物語、根幹ではあるのですが、他の3つの物語もそれぞれ単体で見てもとっても面白かったです。
私はR18のPCソフトをプレイしましたが、Steamでは全年齢版が発売されています。
- 用語集(白昼夢の青写真において、実はかなり重要な気がします。)
- 新規スチルや背景の追加
- CASE-0エピローグ新規書き下ろし
- 各CASEのメインビジュアルに連動した追加シーン書き下ろし
- 各CASEおまけを2種類、計8つ
- ムービーを2種類
Steamへの移植時の追加要素の一部が上記です。プレイをし終えた身ですが、追加要素が魅力的で正直Steam版もプレイしたいです。
ただ、私のPCが壊れかけのため、DLゲームを購入することに躊躇いがあるので、購入するか悩み中です。(笑)どちらを購入するか迷う方でDLでも問題ない方はSteamでも大丈夫だと思います。
PCソフトは店頭もしくは公式BOOTHにて購入することが出来ます。
PCソフトにはショートver.ではありますが、全てのOPとEDが収録されているCDも付いてくるので、これもオススメです。
ちなみにフルver.と全サントラを収録しているCDは受注生産されていましたが終了しました。私はもちろん購入しました。
普段は乙女ゲームをプレイしている私から見て、この作品は乙女ゲーマーさんでも楽しめるかなと感じました。
私は乙女ゲームをプレイしていても、彼視点があると嬉しいタイプなのですが、白昼夢の青写真にはヒロイン視点で物語が描かれているシーンもあります。
私は初めての美少女ゲームのため、これが普通なのか珍しいことなのか分からないのですが、このヒロイン視点が挟まれることで、さらにグッと2人の物語に惹き込まれていきました。
私と同じように、乙女ゲームに彼視点があると嬉しいタイプの方は楽しめるのでは、と思います。
あと、とあるCASEではとても良いシーンでヒロイン視点に切り替わるため、一瞬乙女ゲームをプレイしている気持ちになりました。
そういった点でも、乙女ゲーマーさんにもおすすめ出来るかなと思います。
なにより、シナリオが良いです。よく練られている作品や最終的に伏線回収をしてくれる作品が好きな方にはぜひプレイしてみてほしいです。明るい物語や切ない物語、ちょっと暗い物語など、様々な種類の物語があるのでどれかひとつは好みの物語があるのではと思います。
この作品の魅力、他には各CASEごとにOPとEDが用意されていることです。
このOPもEDもシナリオライターさんが作詞されています。
つまり、それぞれ世界観が全く違う各CASEにぴったり合った曲が聴けます。驚きです。
シナリオライターが作詞されているので当たり前ではあるのですが、どれも曲としての素敵な上に、歌詞の各CASEのシナリオとのハマり方が高くて、更に作品としての完成度をあげていると思います。ちなみに各CASEごとにBGMも用意されていて、このBGMも本当にとても良かったです。
CASE-0は正に記憶の追体験でした。そのため他のCASEに比べると少し長く、情報量もすごかったです。だからこそ、2人の物語にたくさん泣きました。
この作品、各CASEの時代がバラバラであることは最初に記しましたが、中世・現代・近未来・未来を全て踏破した上で、それらを上手くひとつの物語へまとめあげていることが凄かったです。
しかも最終的にひとつの物語に収まるとはいえ、それぞれの物語が独立して面白いものなので、プレイ中飽きたり冗長だなと感じることなく物語を進めることが出来ました。
また各CASEごとに物語の雰囲気が変わるのですが、OPとED、BGMだけでなく、ゲーム内のUIも物語に合うように変化が付けられている所も、細かいところですが良かったです。
UIといえば、ツイートボタンがあるのが便利でした。私が今までプレイしたPCゲームには無い機能だったのですが、最近は多いのでしょうか…。PCゲームのスクショを残すためにこのツイートボタンは非常に助かりました。壁打ちして、写真を保存、ツイートを削除というやり方で携帯にスクショを保存していきました。
かなりの枚数でメディア欄が埋まってしまう事と、壁打ちとはいえ、ネタバレになる為ツイートは削除していました。
こんな感じで、システム周りも特に問題なく快適にプレイ出来ました。
美少女ゲームを普段プレイしている方も、プレイしたことない方にも、ぜひプレイしていただきたい作品です。
ここから先はネタバレ有りで、各CASEごとに感想をまとめていきます。
プレイされてない方は、ここで閉じることをオススメします。
CASE-1
正直、あまり好みの物語ではなかったです。
まず、先生と生徒、45歳と高校2年生、さらに不倫といった感じで、倫理観的にアウトではあります。
ゲームだからと割り切ることが出来るなら楽しめると思いますが、なまじ現代が舞台なせいで、私は倫理観を捨てきれませんでした…。
あとは主人公の有島芳を好きになれなかった。
このふたつが、CASE-1を好きと言いきれない原因だったと思います。
有島芳という男、小説家を目指しつつも本を書き上げることなく、結局は収入を得るために職に就く。でも小説家になる事を諦めきれずに、兼業が許される非常勤講師を選んでいるのですが、そこまでするならせめて本を書け!と思うけど書かない。本人曰く「書かないんじゃない、書けないんだ」みたいなことをぶつくさ言うけど、小さい子の言い訳みたいなことを45歳がするんじゃない!って思ってしまいました。
有島芳、自分のことを下げるような発言をしてますが本心は違うと思うんです。自分が今、小説家ではなく非常勤講師なんかをしているのは世間が悪いんだ。世の中が悪いんだ。みたいに思っているんだろうなって伝わってくる。
有島芳のそういう所が嫌いなんですけど、ならなんで嫌いなのかなって考えると、ある種の同族嫌悪かなって…。
私はまだ有島芳ほどの生きてはいませんが、これから数十年後に、有島芳みたいに毎日同じように仕事に行って帰宅する日々に嫌気が差して、世の中が悪いんだってぶつくさ言いながら生活してるのかもと思うと、すごく嫌でゾッとした。
あとは純粋に、原稿用紙100枚以上に自分のことを書いて渡すのも相当だなと思います。普通に考えて。
凛は生まれ育った環境とか普通ではないから受け入れてくれたけども…。
貴方への欲が抑えられなくて妻を……の事も書いているらしいですが、もし私が渡されたら気持ち悪くて無理です。
公式のコラムも読んで、
「そうか、ここで祥子がいなくなっちゃうなら、有島はきっと、自分の 築いてきたものの儚さに絶望するよな」
とシナリオライターが言ってたんです。実際に有島もそんな感じだった。
でも、よく考えて欲しい。妻とはいえ、合意無しに、拒絶している相手を襲うのはダメなんですよ。愛情はなくても、あったかもしれない何かしらの情やら、信頼は木っ端微塵になっても自業自得だと思う。
まぁ、祥子も不倫している描写はあったので、不倫に関してはお互い様でしょうけどね。
自分で壊しておきながら、儚さに絶望するなんて、まさに自分が物語の主人公だと思っている有島芳って感じがします。
まぁヒロイン役の中の人からも嫌われてるらしいので、女の人からはなかなか好かれ無さそうです。凛が特別。
有島芳の悪口ばっかりになってしまった。切り替えます。
父親が残したお金で、高級食材やワインを使い料理を振る舞ったことを有島に怒られて、自分でお金を稼ぐという手段を取る凛がすごく健気で好感度高かったです。
このスーパーで働いてるイギリス貴族の血筋を引いた人間も笑っちゃいました。
CASE-1ってお話が暗いので、たまにふふっと笑えるシーンがあると印象に残りやすいです。
有島と凛が2人で一緒にカレーを食べてる時間も結構すきでした。
こういう日常の積み重ねみたいなの好きなんですよね。
最初はずっと表情をそんなに変えずに綺麗な顔だった凛が、少しずつ膨れっ面とか、うっすらと微笑む程度じゃない笑顔見せてくれたり、なるほどな…。学園でいつも1人でいて浮いてる美人が自分だけに色んな顔見せてくれるっていうのは……たしかに…惚れちゃうだろうな…となりました。
凛は大人びているけど、たまに見せる子供らしさと見た目がアンバランスで、そこも魅力なんでしょうね。
どんな小さなことでも、有島の妻に負けたくなくて、三枚おろしを上手にできるように頑張る凛とか可愛かったです。
あと、渡辺先生が何気にとても好きでした。離婚したら御祝儀返納システムの話とか、「ちょっと貧乏なバカが1番幸せだよな」って言葉とか。
おもしろくて、おちゃらけた感じだけど、ちゃんと相手の話を聞いたり顔色見たりしてるところ、とても好感度高いです。
自分で言ってたけど、広く浅く愛されるタイプっていうのもとてもわかる。そういうタイプです。(締めが渡辺先生のことでいいのか?)
CASE-2
すっごく好きな物語でした!
CASE-1は多分あまり刺さらないだらうなとは思っていて、CASE-2に関しては主人公の顔がいいな〜位だったのです、私としては嬉しい予想外でした。
初演成功後の劇場でのシーン。
後ろからオリヴィアを抱きしめるウィルが、めっちゃかっこよく成長してて最高でした。
序盤のウィルはスペンサーの屋敷で盗みを働こうとしてしまうし、自分のことを悲劇の物語の主人公だと思っている感が強いけど、初演を成功させるまでの過程でこんなにも成長したのか!となりました。
あとウィルとオリヴィアが惹かれ合うのが、ここまで過程でしっかり分かる。だからこそ、このシーンを違和感なく受け入れることが出来る。違和感なく受け入れることができるから、更に良いシーンだと思えます。
このシーン、オリヴィア目線なので、ウィルが余計にかっこよく見える。
「お前を救う力はおれにしかない」
とウィルがオリヴィアに伝えるのですが、本当にそうなんです。
ウィルの才能を開花させ、ウィルが書いたものを舞台上で美しく演じ切る事が出来るのはオリヴィアだけ。オリヴィアを舞台上でいちばん輝かせる脚本を書くことが出来るのもウィルだけ。最高じゃないですか…。
いつもオリヴィアが言ってた「返事は?」「いいこ」って言葉を、この時はウィルがオリヴィアに投げかけるのも本当に良かったです。
基本的にオリヴィアが優位というか、主導権を握っているんですが、ふとウィルが主導権を握る場面が出てくると、ウィルのかっこよさが際立ちます。オリヴィアと出会って中身もイケメンに育ったウィルがとても良い。
成長したのは何も、ウィルだけじゃない。
マーロウにオリヴィアが女でありながら舞台に立っていることがバレた次の日、舞台に立つか立たないかを劇団員の判断に任せた時、
キキ「ボク、立つよ」
トーマス「元コソ泥で、今は奴隷だしな」
キキ「違うよ。今は役者だよ。この劇団の役者だから立つんだよ」
このシーンのキキが大好きです。奴隷だから仕方なく劇団員をしていたキキやトーマスはもう居ない。トーマスも「奴隷だしな」って言いつつも、立たない選択肢は最初から持ってなかった。座長のオリヴィアだけじゃ作れなかった、脚本が書けるウィルだけでも無理だった、オリヴィアとウィルがいたからこそ、劇団員の意識が変わって、舞台が作られていくんだと改めて感じられるシーンで好き。
オリヴィアがウィルに舞台に関わる(対人関係)ことでダメだしされてる所も、オリヴィアがとっても可愛くてほっこりしました。
ウィルに正論を言われて悔しいけど、黙っていない感じが本当にかわいい。
基本的にオリヴィアが上みたいに見えるけど、ウィルが黙ってる訳でもないし、パワーバランスがいい塩梅でした。
あと、牢屋で冷たい壁越しにロミオとジュリエットを完成させるシーンも好き。
このシーン、OPタイトルにもかかってきててより一層良いんですよね…。感情揺さぶられまくって泣いてました。
ラスト、宮廷でロミオとジュリエットを演じられるように交渉するウィルの成長っぷりが目覚しい……感想の最初に書いた初演後にオリヴィアを後ろから抱きしめるシーンでもウィルの成長を感じたけど、ここでも更に成長を感じた。恋は人を変えるんだなぁ。
ウィルとの日々に、わたしは何度だって帰る。
わたしの心は死ぬまで、ウィルとの日々にある
っていうオリヴィアの気持ちで泣いてしまった。
最初で最後、ウィルとオリヴィアの物語を女優として演じることが出来たの本当に良かった…。もう、ほんとうに良い意味でお互いじゃないとダメなふたり。
ロミオとジュリエットの別れ、ウィルとオリヴィアの別れがラストは描かれていて
おれとオリヴィアの出会いは、永遠になる--。
がとても綺麗で最高でした。
スペンサー気持ち悪いとは思うけど、悪い奴ではないんですよね。うん……変態だけど。彼なりの美学がある。
小物はマーロウですね!オリヴィアが女だってバラす様な事しなければ、ウィルからライバル視さえもされずに朽ちていく男だったのかな。余計な事までしたのに、結局は宮廷演目に選ばれてなくていい気味だなって思いました。
本当にCASE-2大好きでした。酒場や劇団員達の軽快なやりとり、ウィルの成長、ウィルとオリヴィアの関係性、全てが分かりやすくおもしろかったです。ギャグシーンとシリアスシーンの比率が良かったです。CASE-1が好き嫌い分かれる物語だと思うので、こういう分かりやすくおもしろい物語があるのと作品として良いバランスな気がします。
そういえばCASE-2の季節が夏であることを忘れてた。てことは、全てひと夏の物語なんだなぁ、と気付きました。
CASE-3
本当にCASE-3がとても好きでした。終わり方も1~3の中ではいちばん好き。
そもそもCASE-3の始まりって、すももと梓姫が、出会った夏を思い出すところから始まるんですよね。この始まり方から既に好きでした。最初はすももと成長したカンナくんが話してるシーンなのかなって思いました。最初の時点ですももの話し相手が描写されてなかったので、そう見えるように作ってるんだと思います。CASE-1とCASE-2を終えてて、2人が別れるところでこのお話が終わるって分かってても、カンナくんとすももは再会出来るって思うとプレイ中に悲壮感が無かったんですよね。
まぁ、梓姫とすももの掛け合いが楽しくて、この始まりのシーンが無くても悲壮感なんてものは感じない物語だったと思います。
すももがカンナくんに恋に落ちる所で、序盤部分が終わるのですが、恋に落ちるのも本当に些細なことだったんですが、人を好きになるのって、こういう些細なことなんですよね。優しくされたとか、困っているところを助けてもらったとか、一緒に話してて楽しいとか。この特別じゃないからこそ青春のようなものを感じるのかなって思いました。
カンナくんの言葉にときめくと「きゅんっ」って言葉が出ちゃう、すももが可愛かったですね。軽い感じがしつつも、梓姫との恋バナのシーンでカンナくんのことは本気で好きっていうことが伝わってくるので良かったです。
あとすももがちゃんと、カンナくんの年齢を考えて最後まで手を出さなかったのも満点でした。お風呂シーンの好きな人の前でそんな話するの?って思っちゃうようなすももだけど、この辺りはちゃんと常識を持っていて良かったです。
カンナくんがすももを撮るシーン、カンナくんがいつもと全く違う感じで楽しかったです。あとファイダー越しの視界も用意されていて、クリックするとカメラのシャッター音が聞こえる演出もワクワクしたので良かったです。ファイダー越しのすももが可愛かったです。
序盤にある夕方のファイダー越しのすももですね。あのすもも本当に可愛くて、カードタイプのアクリルスタンドやアクリルブロック出してくれないかなって思うくらいです。改めて、このゲームは絵が綺麗で好きだなぁって思いました。
お別れのシーンでの夕暮れの、おでこにキスするスチルもめちゃめちゃ良くて、お互いがお互いに釣り合うために、最高にイケてる大人になるために、それぞれの時間を経てから、一緒にいる時間を得ようとするのも最高でした。
「カンナくんをドギマギさせる大人のお姉さんになるの、これからっ!」
ってセリフがOPの歌詞にかかってて大好きです。恋するキリギリス、プレイ前から好きな曲なんですが、さらに好きになりました。
やっぱ。シナリオライターさんが作詞してると、ゲームに思いっきりリンクしていて良かったです。
カンナくんとすもものお話もそうだけど、飴井親子のお話も優しくて温かくて大好きでした。
お父さんが本当に優しい。カンナくんの将来を本気で考えてこその言葉ばかりで、カンナくんが大切だってたくさん伝わってきて泣けました。
お話のテンポがいいってのもあると思うけど、いちばんお話短かった気がします。
あ、梓姫さんのこと忘れちゃってるでしょうが。
梓姫さんめちゃめちゃ好きだったし、すももへの言葉がかっこよかったです。
「なんでお前のやりたいことが、お前の行ったことない場所で見つかるんだよ」
「そういうのは、退屈でもジッと考えて見つけるしかないでしょうが。見つかるまで考えるしかないでしょうが。」
自分が行ったことのない場所で見つけるものも絶対にあると思うんですが、CASE-3は【探していたものはすぐ近くにあった】という物語なので、CASE-3に合っている言葉だと思うし、それをしっかりすももの為に伝えてくれる梓姫さん、とてもかっこよくて好きです。梓姫さんのこと、好きに決まってるでしょうが。
カンナくんが悩みながらも、真っ直ぐ夢に向かってるからこそ、すももも自分の未来のことを真剣に考えて、やりたいことを見つけようとしてて、すももは今のカンナくんが1人では辿り着けない答えに、本人でも気付かずに導いてくれたりしてて、2人がお互いにいい影響を与え合っている所が良かったです。
CASE-2とは違う、まだ未熟な2人だからこそ感じる甘酸っぱさとか青春感、将来への希望だったりがとても好みでした。OPの恋するキリギリスのBGMアレンジがまた最高でした。OPのBGMアレンジがあると、大体すっごくいいシーンで流れるので余計に気持ちが高まります。
カンナくんとの時間は、あたしに色んなことを教えてくれた。
--これから、こうやって空を見上げる度に、あたしはこの夏のことを思い出すのかもしれないな。
このすももが感じてることが、CASE-2でのオリヴィアが感じでることにも似てるなぁと思いました。
1~3まで登場人物は違えど、別れで物語が終わることと、ヒロインがこのひと夏の出来事を胸に生きていくっていうスタンスは同じなんですよね。
「はー……。久しぶりにめっちゃ恋してる、あたし」
「でも……。こんなにピュアに人のこと好きになれた今の自分が……」
「……あたし結構好きなんだ…」
ってラストのすもものセリフが、最初のカンナくんの髪の毛を切ってあげたときの
「自分が好きな自分でいれば、心があとからついてくるんだからさっ」
ってセリフにも繋がる感じがして好きです。自分のことをすきになるってなかなか難しいですが、好きなことを仕事にするために、これから頑張る2人がちょーイケてて大好きです。
CASE-0
私は海斗のお母さんが大好きです。自分の体が動かなくなっていてって、死が近づいていても息子の海斗には不安そうなところ1ミリも見せず、海斗のこれからを心配する様な強い人で、海斗のお母さんが息を引き取るシーンでボロボロ泣いてました。
海斗のお母さんはALSなのかなって思ってました。違いましたね。でもよく考えたら生活が著しく規制されているとはいえ近未来の話なので、現時点で難病だとしても判明している病気は治療法などが解明れているかもしれないです。まぁ世凪のアルツハイマーは何故か解明されていませんが。
基礎欲求欠乏症(って本人は知らないけど)になってしまって、これから先必ずくる自分の死後、海斗を1人にしてしまうことだけが気がかりだった海斗のお母さん。世凪と海斗が出会って海斗を1人にする心配が無くなったのも、息を引き取ってしまう原因の一端だったのかなと思います。お母さんは息を引き取る前に世凪に海斗のことをお願いするんですが、そこでハッキリと安心したんだと思います。海斗には世凪ちゃんがいるから大丈夫。私が死んでしまっても…という感じで。幸せが人を殺すなんて、すっごく悲しいです。基礎欲求欠乏症を知ってより一層、海斗のお母さんの死がとても悲しくなりました。
基礎欲求欠乏症といえば、そう、遊馬先生と奥さんの里桜さん。基礎欲求欠乏症になってしまった里桜さん。遊馬先生は里桜さんがどんな夢を見ているのか知ったシーンでも泣きました。本当に悲しい病気。里桜さんも遊馬先生との暮らしに幸せを感じすぎてしまったんですよね。遊馬先生が何としても里桜さんを助けたいと思うのは当たり前の感情です。やり方は…間違っていましたが。世凪の脳を…というのは、あまりにもショックが強かったです。でもそこで初めて、CASE1~3の合間に出てきた世凪の幼さに納得しました。でも本当に内容が衝撃的でした。
白昼夢の青写真のこの終わり方自体は嫌いではないんですが、海斗は基礎欲求欠乏症の根治療法を見つけることをして欲しかったなとも思います。遊馬先生の過去を振り返ってみても正直、基礎欲求欠乏症の根治療法を見つけること難しそうな気がします。
小さなことでも幸せを感じて、その幸せを大切にできる人が基礎欲求欠乏症になってしまうなんてあんまりなんですよ。悲しすぎる。
でも海斗にとっていきなり出てきた、基礎欲求欠乏症をよりは世凪なんですよね。自分のお母さんが基礎欲求欠乏症で亡くなったはいえ、基本的に海斗は過去より今。過去に縋り付くのは違うってことを言っているので…。
世凪のことを語り継いで《めがみさま》にすることで、世凪に再開する可能性にかけたんだと思います。
世凪は海斗の世界を変えた人間だから。あのまま世凪と出会っていなかったら、学校すら行っていなかった海斗は全く別の人生を送っていました。今の海斗がいるのは世凪のおかげだから。
CASE-0の序盤、神とかの共通の認識なら……って言ってた事が、世凪に対して《めがみさま》って海斗が言った時に思い出しました。そういえば海斗と世凪の2人でなら海斗のお母さんに会うことも可能でしたし。
これ絶対に共通の認識として、再会出来るやつだ!って。
やっと、「おかえり」と「ただいま」という言葉を2人が交わせたのは本当に良かった。泣きました。
あんなに海斗と出雲とリープくんで自我を失った世凪を取り戻したのに、世凪であって世凪では無いなんて悲しすぎたので。
この時、出雲は世凪に「おかえりなさい」と声をかけるんですが、海斗は「おかえり」って言ってませんでした。本当の世凪にもう一度出会えるまで、この言葉を取っておいたのかなぁなんて思います。
このやり方で世凪と出会えるのは海斗の全ての記憶を忘れない能力がない限り無理なんですよね。でないと、共通の認識として生まれた世凪は昔とは違う世凪である可能性があったし、そもそも共通の認識が出来ずに世凪と再会すらできなかった可能性もあります。
でも、この2人はもうこの夢の世界でしか生きていけません。そもそも本当の世凪は世界になったのに、共通の認識として具現化した世凪は本当に世凪なのか…と思わなくもないですが、ライターがコラムで
人々が個性だと思っているものの正体は、今日までの記憶の集積でしかない。
と語っています。確かに、今までの記憶を個性と呼ぶならば、海斗の能力によって共通の認識となり具現化された世凪は、世界となった世凪なのかもしれません。海斗の持ってる世凪の記憶は世凪の記憶ではなく海斗の記憶ではありますが、それ以外もうこの2人が再会する方法は無いので、綺麗な終わり方だったと思います。序盤からこのエンドのために伏線が張られていましたし、ご都合主義というエンドでもないかなと思います。2人がやっと掴めた幸せが嬉しいです。
そういえば、実験前に出雲が海斗に伝えた
「わたしも、もう一度世凪に会いたい」
に泣きそうになりました。海斗・世凪・出雲・リープくんは家族だもん…。
出雲がとてもいい子で本当に好きでした。世凪の夢に参加してアドリブを入れまくっていたところなんかは爆笑しました。なかなかに酷い下ネタもありましたが、あの出雲がって思うと面白くてすきでした。
CASE-0に出てくるスチルがCASE-1~3と同じ構図であるものがあって、1~3のどの物語も海斗と世凪の物語なんだなってひしひしと感じました。普段シナリオゲームをプレイしていて、同じ構図のスチルをそれぞれ1枚に計算されると、残念な気持ちになったりしますが、白昼夢の青写真では逆にそれが演出として活きてくるのですごいです。
特に、世凪がアルツハイマーの遺伝子を持っていることを伝えて、海斗にプロポーズの答えを伝えるところがすごく悲しかったです。CASE-1だけはずっと出てこなくて不思議に思っていたので、ここで出てきた部屋やスチルに泣いてしまいました。いつか海斗との幸せな日々を忘れる、海斗に迷惑をかける日が来る、そんな不安をずっと抱えていて、世凪も凛のように「助けて」って海斗に言いたかったんだろうなって思って余計に泣きました。
世凪はずっとずっと1人で抱えてて、抱えてるものがある素振りもあったのに、プロポーズした後の海斗は全然、世凪の話を聞かないので、すごく腹が立ちました。今の君は世凪を見ていないぞ?って。
この海斗に対して腹立った時に、なんとなくCASE-1の有島を思い出しました。そして有島と凛の物語もまた海斗と世凪の物語で、有島と海斗も似通ってる部分があるのかなぁと……。
CASE-2のウィルの記憶力は海斗と同じものですし、CASE-3のカンナくんのカメラを持ったら人格(?)が変わっちゃうところは海斗にも無自覚でサラッと世凪を褒めるような似た所があったので、そりゃ有島と海斗にも似ているところはあるんでしょうね…。
そういえば、ずっと疑問なんですがシャチはなんで死んだんでしょう?外に出た事で欲求がすごい速度で満たされて、基礎欲求欠乏症になった?とも考えたのですが、いくらなんでもスピードが早すぎますし、シャチの年齢や性格を考えると外に出たならもっと欲が出ると思います。だからなぜ死んだのかは謎だなぁと考えていたのですが、上層の人間には工作員がいるので、外に出たことに気付いた工作員が何か遠くから撃ったりしたのかな…と考えました。どうなんでしょう。やっぱり基礎欲求欠乏症なんでしょうか…。
エピローグで各CASEの終わりがハッピーエンドになったのは、私としては良かったです。そもそも各CASEが別れで終わってしまっていたのは、世凪が海斗との未来に別れ以外を想像することが出来なかったからなので、ちゃんと世凪が幸せでこれからの幸せも考えられる事が嬉しいです。
いちばんハッピーエンドで嬉しいのはCASE-3でした。カンナくんがスペンサー嵐山に影響受けまくってしまって少し悲しくなりましたが、写真を撮る時のカンナくんは元々人格が変わるので仕方ないことかもしれない。あのひと夏の後、お互いが頑張って夢に向かって進んだ先で2人の人生が交差した。良かったです。
CASE-2のハッピーエンドはまさに【喜劇】といった感じで、ある意味CASE-2のままだったように思います。でもお別れのエンドは2人の儚い永遠の愛みたいで正直好きでしたが。
CASE-1は良いのか?って思わなくもないです。いやでもあの別れからのハッピーエンドはこれしか無理ですね…。またしても渡辺先生がとってもいい人で株が上がりました。
初めての美少女ゲームがかなり丁寧に作り込まれている作品で、最後まで楽しめたことが本当に嬉しかったです。
またこれから気になる作品があればプレイしていきたいと思います。
プレイしてから感想書き切るまで1ヶ月以上かかりましたが、やっと感想を書き終えてほっとしています!おつかれさまでした!